コロナ禍によるマスク着用が義務つけられた結果、口紅の売上げが落ちてしまった。口紅がマスクに付着しては確かに気持ちが悪い。その一方でマスカラとアイラッシュのサービスが業績を伸ばしている。美容業界はこれを「マスカラ効果」、「アイラッシュ効果」と呼んで注目している。
「今、スマイズという新語が生まれました。(マスクで口が見えないので)目(eyes)でスマイルしようというわけです。」と語るのはアマゾンラッシュスタジオのヘザー・エルドッドCEOだ。マスクをしている時、目による表現は以前に増して非常にパワフルな個人表現となる。
アマゾンラッシュスタジオは2010 年の創設、現在加盟店スタジオ250 ユニットを展開する美容サロンチェーンである。フランチャイズ開始は2013年、2018年にはWellBiz Brandsに買収された。WellBiz BrandsはElements MassageやFitness Togetherの親会社でもある。
ある調査によれば、5月の口紅売り上げが5%下がる一方、マスカラは11%伸び、眉関連プロダクツも5%売り上げを増やした。アマゾンラッシュスタジオはコロナ以前と比べ全体売り上げを10%以上増やしたのである。
「長めのアイラッシュはアンチエージング効果があります。私たちのスタジオに来る客層は平均39歳ですが、同時に40歳以上の客が圧倒的に増えつつあります。(マスカラはコスト高でもあるので)、半永久的にアイラッシュを長くすればマスカラは不要になります。それはライフスタイルでもありますので。」とエルドッドCEOはアイラッシュの効用を述べている。
エミリー・ラバンはテキサスの2都市で同チェーンのスタジオを複数所有している。コロナ以前と比べぜんえんひで客足が46%増えたとインタビューに答えている。「マスク着用の義務化が業績好調の鍵になったと思います。目周りの美容は今後も上昇傾向が続くでしょう。客たちは目や眉をキャンバスのように捉え、アイラッシュを長くする方向に進むでしょう。」とラバンは言う。「マスクをしたら相手に見えるのは目だけすからね。目だけで美しさを表現し、自己表現をせざるを得ません。」
マスク着用が近い将来になくなるとラバンは予想しない。しかし、今回の経験を通じ、ソーシャルディスタンスにも関わらず、あるいはソーシャルディスタンスがあるからこそ人々はより手の込んだサービスを求めるのだろうと感じている。
「こんな時だからこそ私たちはお客様に気持ちよく感じていただくよう努力すべきですし、お客様はそれを望んでいらっしゃいます。朝起きるたびにアイラッシュを描くのは大変です。起床するたびにフルメーキャップをしなくてもいい、すぐスタートできるようお手伝いできればと思います。」とラバンは述べている。