コロナウイルス・パンデミック発生後、ゴーストキッチンへの注目がさらに高まっている。フランチャイズタイムズは2018年には早くも特集記事を掲載している。2年前と現在の姿を比べることでゴーストキッチンの現在をより正確に読者にお伝えしたい。
アップトン記者は当時、次のようにゴーストキッチンについて説明している。
大通りから遠く外れた暗いビルの内部から金属音のような音が聞こえてくる。駐車場付近から奇妙な匂いが漂ってくる。これは「ゴーストキッチン」に違いない!という書き出しで記事は始まる。バーチャルレストラン、ダークキッチン、飲食調達センター、シェアードキッチン、配達限定レストランなどなどゴーストキッチンの呼び名は様々だ。何れにしてもセントラルキッチンの進化バージョンであり、料理は作るが食べる場所は別という説明がわかりやすい。では、従来型のセントラルキッチンとゴーストキッチンは何が違うのだろう?
不動産の高騰、食材の高度な品質
ゴーストキッチンが重宝されるのは高騰する立地確保の難しさから解放されることと、優れた美味い料理を提供できる点にある。ハイウエイ沿いのインダストリアル地域なら家賃は安い。しかし、住民は少なく、いたとしても経済的な余裕を持ちデリバリー注文をするヤング層はいない。「ゴーストキッチンの場所を決めるのは、そこでどれだけデリバリービジネスがあるかにかかっています。」と語るのはメリディス・サンドランドCOO(Kitchen United)だ。2年前の当時は 13 箇所のバーチャルキッチンを運営する新規会社だったが、いまは50億円の追加投資を受け400ゴーストキッチンを目指している。1施設が扱うのは平均15ブランドなので、これだけでも6,000ブランドがキッチンスペースや客席スペースなしにレストラン経営できることになる。
しかしながら、2018年当時に流行りだして間もないゴーストキッチンは「店鋪のいらない経営モデルの1つにすぎず、加盟店が飛びつくのは時期尚早であろう。」とアップトン記者は記事を結んでいる。
低額投資で儲けるならゴーストキッチンに限る!
2020年現在、レストラン業界の様相は一変しつつある。The Restaruant Timesの最新記事はさらに大きく進化したゴーストキッチンについて次のように述べている。
何と言ってもテクノロジーの導入が大きく作用している。「cloud kitchen POS」の登場のおかげでゴーストキッチンは通常レストランに遜色のないタスクを実行できるようになった。レストラン管理を全てクラウドでやってしまうソフトが開発されたからだ。例えば、1ソフトの導入で次の業務を全て子なるすことができる。
a)全ての注文を1箇所で管理できる
b)各オーダーを即座に該当キッチンに指定できる
c)在庫管理可能
d)レポートと分析をリアルタイムで実行
テクノロジーの発達は、例えば、最適のタイミングで調理することを可能にした。客は発注30分後に食事を受け取るかもしれないが、調理をデリバリー直前の6分前に行い、客に届ける離れ業がいとも簡単にできるようになった。
店舗の物理的な存在は要らない、食材の無駄は最小限、客や従業員からの訴訟を含むあらゆる局面でのリスク激減、短時間で調整変更可能なメニュー等々、ゴーストキッチンの優位性はとどまることを知らない。
問題もある。配達ミスは常につきものだ。ゴーストキッチンでは複数のブランド料理を調理するので、各レシピの品質を一定レベルに保つ難しさが生じる。アルコール飲料を売ることができないので、レストランの重要な収入源が一つ失われる。外部サービスを使う以上、顧客データは入るには入るが、いわばマスクされた情報しか入手できない。
既存レストランの多くがゴーストキッチンに向かうだろう
2年前も今も不動産高騰の問題は続いている。スタッフの激しい入れ替わり、賃金の高騰などに直面し、新規レストラン経営者のみならず既存レストランもゴーストキッチンに向かい始めている。上記に掲げた諸問題を抱えながらもゴーストキッチンは次世代のレストランの道を確実に進み始めたと言える。