ここ20年でアメリカ本土のハワイ人、アジア人、南米人の割合が急増しつつあり、それが特定のフランチャイズチェーンの売上や店舗数を大きく増加させる傾向を生じさせています。
急成長するレストランコンセプトの原因を深掘りすると、エスニック構成を含むアメリカの人口構成が大きく変容している事実が明らかになります。端的に言えば、アメリカ人口の多様性の深まりが飲食業界に大きく影響しているのです。
ハワイ料理の典型的なランチプレートを例に挙げます。スパムおにぎり、カルアポーク、チキンカツが全部ひとつのプレートに盛られて提供されます。アメリカの食品サービス業界に特化したリサーチ会社Technomicが発表した「Technomic2023トップ500」にリストされたレストランブランドの中にハワイ系ブランドのMo’ Bettahs、L&L Hawaiian Barbecue、Ono Hawaiian BBQ、Hawaiian Bros. Island Grillが含まれており、下記の業績をあげています。(2023年度集計)
業績アップの理由は明白で、ハワイ人口がアメリカ本土に多く移動した結果と言えます。史上初めてのことですが、ハワイ島よりもアメリカ本土に住むネイティブハワイアンが53%対47%で多くなったのです(2020年国勢調査)。ネイティブハワイアンとパシフィックアイランダーに属す人口が他のエスニックグループを抑え最も多くアメリカ本土に流入し、2000年から2002年にかけて120.3%増加しました。
アジア人口の増加も特筆すべきものがあり、同じく2000年〜2002年に105%増加しています。アジア系ブランドも急成長し、特にPanda Express(パンダエクスプレス)はPopeyes、KFC、 Pizza Hut、Arby’s、Dairy Queen、Olive Garden等のジャイアントチェーンを過去数年に渡りいわば「カエル飛び」で追い越してきたのです。パンダエクスプレスの売上は2019年の39億8,000万ドルから 59億ドル(2023年)へと飛躍しました。
急成長のアジアブランドはパンダエクスプレスに限定されるものではなくK POT Korean BBQやHot Potはわずか1年間(2022~2023)で売上増251%、店舗数増243%と信じ難い数字を叩き出しました。 去年上場したGen Korean BBQは 売り上げ11%増、店舗数20%増でした(2023年)。Jinya Ramen Bar(陣屋ラーメンバー)の場合は売上増21%、店舗数30%アップとしています。それ以外にも日本食系チェーンのTeriyaki Madness(テリヤキ・マッドネス)、Rock N Roll Sushi(ロックンロール・スシ)、Kura Sushi(くら寿司)、Nobu(ノブ) がいずれも高成長しています。
「一言で表現するならば、デモグラフィーシフトの結果、より多くの人達がエスニック料理を知る機会が増え、理解が深まったからではないか」とMo’ Bettahsの ロブ・アースマンCEOはこのトレンドについて説明しています。 ここに紹介したコンセプトのほとんどが新進ブランドであることを考えると、ハワイ系、日本系の飲食ブランドにはさらなる大きな成長が見込まれます。
*こちら記事はNation's Restaurant News How changing demographics are influencing the growth of some restaurant brands を元に作成しました。
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